広小舞(ひろこまい)という言葉をご存知でしょうか。
家を建てる際に、伝統的な建築様式を取り入れたいと考えている方もいるかもしれません。
「広小舞」は、軒先の下に取り付けられる板状の部材で、瓦葺き屋根などの伝統的な建築に見られます。

近年ではあまり見かけないかもしれませんが、伝統的な建築様式に関心がある人にとっては、知っておくべき重要な要素です。
この記事では、広小舞とは何か、その種類や役割、注意点を解説していきます。

□広小舞とは?

広小舞とは、軒先の先端、垂木の上に取り付ける、厚めの板状の部材のことです。
一般的には20×70ミリ程度の平割材が使われます。
「平小舞」「広木舞」と書かれることもあります。
昔は外からでも見える化粧板として、見栄えの意味も大きかったようです。

屋根のうち、雨どいが付いている側に付いている場合は「広小舞(ひろこまい)」と呼び、雨どいが付いていない屋根の妻側にある場合は「登淀(のぼりよど)」と呼ばれています。
純和風の建築に見られ、瓦葺き屋根でない限りは最近の建築では見かけることが少なくなりました。

□広小舞の役割

広小舞は、屋根の構造上重要な役割を担っています。
主な役割は以下の通りです。

・野地板の保護
・垂木の振れ止め
・瓦の角度調整
・見た目の美しさ

広小舞は、野地板を雨風から守る役割を果たします。

軒先の先端は仕上げ材に覆われていないため、雨や湿気の影響を受けやすく、野地板が劣化しやすいです。
広小舞は、野地板の切り口を覆うことで、劣化を防ぎます。
また、広小舞は垂木の振れ止めとしても機能します。

垂木は細長い木材で、その振れ止めには破風板と同じ役割を果たしています。
さらに、広小舞は瓦の角度を調節する役割も担っています。
瓦は、一段下の瓦に頭の部分を載せることで角度を保っています。
そのため、一番軒先側の瓦は角度がつかなくなってしまいます。

広小舞の厚みの部分に瓦の頭が載ることで、すべての瓦の角度がそろい、見た目も美しくなります。
広小舞は、見た目の美しさにも貢献します。

軒先を下から見上げたとき、野地板のベニヤが見えるよりも、無垢材の広小舞が見えた方が、見た目が良くなります。
広小舞は、化粧材のような役割も果たしています。

□まとめ

広小舞は、瓦葺き屋根などの伝統的な建築に見られる、軒先の下に取り付けられる板状の部材です。
近年ではあまり見かけませんが、野地板の保護、垂木の振れ止め、瓦の角度調整など、屋根の構造上重要な役割を担っています。
また、見た目にも貢献し、伝統的な建築の魅力を高める要素の一つと言えるでしょう。