戸建て住宅の外壁として、ALC(軽量気泡コンクリート)を採用する方が増えています。
ALCは軽量で、耐火性や断熱性にも優れているため人気が高い外壁材です。
しかし、その耐久性や寿命については、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
適切なメンテナンスを行うことで、ALC外壁は長くその性能を維持できます。

今回は、ALC外壁の耐用年数や寿命、そしてその寿命を長く保つためのメンテナンス方法について解説します。

 

ALC外壁の耐久性と寿命

 

ALCとは何か

ALCは、Autoclaved Lightweight aerated Concreteの略で、高温高圧蒸気養生した軽量気泡コンクリートです。
セメント、珪砂、生石灰、アルミ粉末などを原料とし、アルミ粉末が反応して発泡することで、軽量で気泡構造を持つコンクリートになります。
この気泡構造が、ALCの高い断熱性や遮音性に貢献しています。

また、内部に鉄筋マットやメタルラスなどの補強材を入れることで、高い強度も実現しています。
北欧で開発され、日本では1963年から使用されている歴史のある外壁材です。

 

ALC外壁の耐用年数

 

ALC外壁の耐用年数は、適切なメンテナンスを前提とすれば、約60年とされています。
これは、他の外壁材と比較して非常に長い寿命です。
ただし、これはあくまで期待値であり、実際の寿命はメンテナンス状況や環境条件によって大きく左右されます。

 

ALC外壁の実際の寿命と期待値

 

ALC外壁の実際の寿命は、メンテナンス状況によって大きく変動します。
適切なメンテナンスを継続することで60年以上の寿命も期待できますが、メンテナンスを怠ると、耐用年数に満たないうちに劣化が進行し、修繕が必要となる可能性があります。

 

ALC外壁の寿命に影響を与える要因

 

ALC外壁の寿命に影響を与える要因としては、以下の点が挙げられます。

・水分の浸入:ALCは多孔質構造のため、水分を吸収しやすい性質を持っています。
そのため、塗装の劣化やひび割れなどにより水分が浸入すると、ALC自体の劣化が促進されます。

・紫外線:長期間にわたる紫外線の照射は、外壁塗装の劣化を引き起こし、その結果、ALCへの水分浸入を招きます。

・コーキングの劣化:ALCパネルの継ぎ目にはコーキングが使用されていますが、このコーキングが劣化すると、そこから水分が浸入しやすくなります。
コーキングの寿命は約10年です。

・メンテナンスの頻度と適切性:定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、ALC外壁の寿命を延ばすことができます。

 

ALC外壁の耐久年数を長く保つためのメンテナンス

 

ALC外壁の劣化症状の見分け方

 

ALC外壁の劣化症状としては、以下の点が挙げられます。

・ひび割れ:ヘアクラック(表面の細かいひび割れ)から構造クラック(構造に影響を与えるひび割れ)まで、程度は様々です。
雨水の浸入経路となり、ALCの劣化を招きます。

・タイルの浮き:ALC外壁にタイルを貼っている場合、モルタルの乾燥収縮などによりタイルが浮き上がることがあります。

・塗膜剥離:外壁塗装が剥がれると、ALCへの水分浸入を防げなくなります。

・コーキングの劣化:コーキングのひび割れや剥がれは、雨水の浸入経路となります。

・チョーキング:紫外線による塗料の劣化で、白い粉状の物質が表面に現れます。

 

適切なメンテナンス時期と頻度

 

ALC外壁のメンテナンスは、一般的に10~15年ごとに行うことが推奨されています。
ただし、地域環境や建物の状態などによって、メンテナンス時期は異なります。
定期的な点検を行い、劣化症状が見られた場合は、早めのメンテナンスを行うことが重要です。

 

メンテナンス費用と種類

 

ALC外壁のメンテナンス費用は、工事内容によって大きく異なります。

・シーリング補修:ひび割れや剥がれたコーキングの補修。

・塗装:外壁塗装の塗り替え。
塗料の種類によって費用が異なります。

・カバー工法:既存の外壁の上に新しい外壁を重ねて張り付ける方法。

・ALCパネルの交換:ALCパネル自体を交換する大規模な修繕。

 

メンテナンスで使用する塗料の種類と選び方

 

ALC外壁塗装には、水性塗料と油性塗料があります。
ALCは透湿性を持つため、透湿性の高い塗料を選ぶことが重要です。
油性塗料は透湿性が低いため、結露の原因となる可能性があります。
塗料の耐久性も考慮し、適切な塗料を選びましょう。

 

メンテナンス業者選びのポイント

メンテナンス業者を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

・実績:豊富な施工実績がある業者を選びましょう。

・技術力:ALC外壁の専門知識と技術を持つ業者を選びましょう。

・保証:工事内容に対する適切な保証がある業者を選びましょう。

・価格:相場を把握し、適正価格で施工してくれる業者を選びましょう。

 

まとめ

 

ALC外壁は、適切なメンテナンスを行うことで約60年もの長寿命を期待できる優れた外壁材です。
しかし、長持ちさせるためには、定期的な点検と、ひび割れや塗装の剥がれなどの劣化症状への適切な対処が不可欠です。

10~15年を目安に専門業者による点検を行い、必要に応じてシーリング補修や塗装などのメンテナンスを実施しましょう。
メンテナンス費用は、工事内容によって大きく異なりますが、早期に対処することで大規模な修繕費用を抑えることができます。
業者選びでは、実績や技術力、保証などを確認し、信頼できる業者を選びましょう。

これらの点を注意することで、ALC外壁の寿命を最大限に延ばし、快適な住まいを長く保つことができます。